さくら色の庭の春風あともなし訪はばぞ人の雪とだにみん 藤原定家朝臣

さくら色の庭の春風あともなし訪はばぞ人の雪とだにみん

 藤原定家朝臣

 千五百番歌合に

 新古今和歌集 巻第一 春歌下 134

「桜色に吹いていた庭の春風はあとかたもない。が、もしあなたが今来るならせめて美しい雪と見ることはできよう。」『新日本古典文学大系 11』p.55

建仁二年(1202)頃、千五百番歌合 春四。

本歌「けふ来ずは明日は雪とぞ降りなまし消えずはありとも花と見ましや」(在原業平 古今 春上)。

さくら色 紅染の最も淡いもの。

あと 「訪ふ」「人」の縁語。

本歌と違い、既に庭に降った雪。また本歌が花を惜しんで花の雪(落花)を賞美しようともしないのに対し、これは散る花を惜しむ心(上句)に併せて、花の雪をも賞翫しようとする(下句)。むしろそこに重心を置く点に趣向がある。本歌を踏まえて意味もイメージも多彩を加える。

「庭の落花」の歌。

藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか)1162-1241)藤原俊成の子。

千載集初出。新古今集、新勅撰集撰者。勅撰入集四百六十七首(最多入集歌人)。

隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では元良親王と番えられている。

小倉百人一首 97 「こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ」

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